もう相手に優しくできない。悩みを聞くのが辛い。
かつてはあんなに人のために尽くしたいと思っていたのに、そんな冷たい感情を抱いてしまう自分にショックを受けていませんか?
それはあなたが冷酷になったからではなく、「共感疲労」と呼ばれる深刻な心の消耗状態に陥っているからです。
対人援助職は、日々他者の痛みや悲しみ、苦しみといった強い感情に触れ続けます。
相手の感情に寄り添い、深く共感することは素晴らしい能力ですが、それを無防備に受け止め続けると、相手の痛みがまるで自分の痛みのように蓄積してしまいます。
この共感疲労から心を守るために不可欠なのが、「バウンダリー(境界線)」を適切に引くというスキルです。
バウンダリーを引くとは、冷たく突き放すことではありません。
「ここまでは私がサポートできる領域、ここから先は相手自身が向き合う領域」と、感情の責任の所在を明確に分ける作業です。
業務が終わったら、意識的に「仕事のスイッチ」を切ることもバウンダリーの一つです。
制服を着替える時に「今日の感情はここに置いていく」と心の中でつぶやいたり、帰り道で全く違うジャンルの音楽を聴いたりして、物理的・心理的に現場と自分を切り離す儀式を持ちましょう。
相手の人生のすべてを背負う必要はありません。
あなたがあなた自身の心を守り、健やかでいることこそが、結果的に長期的な良いケアにつながるのです。
自分と他者の間に透明な壁をイメージし、優しさをすり減らさない技術を身につけていきましょう。